茂林之下無豊草、大塊之間無美苗。
『 塩鉄論 』 軽重
林の茂みの下では草も増えず、大きな土の塊の間では苗もよく育たない。
国家権力が強すぎると、人民が消耗してしまうことを例えた一文。
まったくその通りで、現在でも国の力が強いと、国民の生産能力や資産を越えた大きな負担を強いるような国家予算を組んでしまい、しかも、その予算は国民の身近な収益に関わる事柄よりも、大きな影響力のある国家間や大企業だけが利する事柄に使われます。
現在は景気が後退期で多くの失業者が続出し始めているわけですが、米国にしても日本、その他の国でもそうなのですが、賃金そして消費が落ち込む前に、多くの労働者の一斉解雇がはじまったわけです。それは、投資家のご機嫌を損なうことがないよう、そして景気が後退することを前提に事前に人員を整理する行動なわけですが、以前も書いた通り、大企業にとって人材や自分の作っている商品ですら単に金融の一商品と同じように見ているわけで、その点スピーディーに売買がしやすい派遣労働は企業としてはとても使いやすかったということなのです。
話が逸れましたが、そのような企業が景気後退を後押し、後押しというよりは足の引っ張り合いで、結局、景気がいよいよ後退、どうしょうもなくなってくると国家がどうにかしてくれるだろうと、思い込んでいるわけです。
そして、その国家もどうしょうもない政策を実行してしまうのですが、なぜか日本人というのはまったく怒りも悲しみもない国民性でとっても不思議ちゃんなのです。
考えても見てください、多くの貴重な労働者が職を失い、日々の生活の糧を失いつつあり、そしてさらに消費が落ち込む中、さらに多く労働者が明日の不安に惧れを抱いているのに、余裕のある家を買うことができる人々が住宅減税と超低金利の恩恵を受けるのです。そして、彼ら余裕のある人々が受けた恩恵をプラスにして、やっと景気が良くなって、職を失っていた労働者が職場に戻る、そのときにその彼ら金持ちが受けた恩恵分もプラスした大きな増税で大きな負担を強いられるのです。不景気を招いた投資家連中が、この不景気の最中でも減税や低金利で恩恵を受け、その分、やっと良くなってきた頃に、一番大きな負担を強いられた人々が引き続きの負担を背負わなけらばならないのです。
そして、経済上の政策を優先し、投資家や大企業だけを保護し、見せ掛けの繁栄を維持しようとしています。
常識的に考えるなら、伸びすぎた林は間伐をし、十分成長し多陰を作る悪木は新しい木々を育てるために伐採するべきなのです。
高山之嶺無美木、大樹之下無美草
『 説 苑 』 説叢
高山の嶺に美木なし、多陽に傷なわればなり、大樹の下に美草無し、多陰に傷なわればなり。
世界をリードする経済大国となってしまったが故に、過剰な資金(円買い)による円高を招き、まさしく『高山の嶺に美木なし』状態の日本。気がつくとビック3とういう巨樹の他に傑出した自動車メーカーが無い、大樹3本のせいで後続メーカーの無い米国自動車業界。
大樹となった大企業でありながら国民の繁栄を損ない投資家を優先するようなところは、直ちに伐採し、新しい苗を植えたほうが、多くの国民に新しいチャンスを与え、希望と夢の溢れる国家を作ることができるのです。
もちろん投資家も、新しい小さな苗から育てて大きな利益を受けるという健全な資本主義の恩恵も受けられるわけで、大樹が腐って倒れる前に(資産価値があり使える部分がたくさんあるうちに)伐採し、その資産を水や肥料代わりに企業を育てたほうがこの際、手っ取り早い気がするのです。
米国民の多くがビック3の破産もやむなしという考えを持っているというのは、米国民性のチャレンジ精神が、きっとこの難局をも乗り越えることができるという自信の表れだとも思うのです。
ビック3という巨樹、そして今までの米国政府という巨樹が、倒れたり小さくなって、国民に燦燦と日が降り注いだ時、米国に新しい力強い苗が再び育つことは、彼の国民性から考えても間違いないことでしょう。フロンティア精神溢れる解雇された労働者と健全な投資家はたぶん雨後の竹の子のように、独創的な商品を作る企業をたくさん生み出すことでしょう。もちろん自動車も幾つものメーカーが競うように世界中に出現することでしょう。そのとき、図体ばかりでかい日本の企業が逆に今までのビック3のようにその巨躯を持て余して躓くことも考えられるのです。
まあどうなるか毎日、経済ニュースから目が離せません。
