文化の最近のブログ記事

世界遺産 Ⅲ

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個人的に

世界遺産でもいいんじゃないか?とか

世界遺産も狙えたのに・・・もったいない。とか

あれが世界遺産ならこれだって!!

リスト

★世界遺産でもいいんじゃない?

 

★ インド アーメダバード 階段井戸

  ただの階段井戸じゃないんですよ!!中には大変な装飾が施された規模の大きな地下施設みたいな井戸もあるんです。世界遺産として検討すべき歴史的建造物。

 

★ インド アーメダバード ガンジーアシュラムと繊維手工業の文化遺産

  ガンジーが非暴力、不服従とインド手工業の復活でインドの独立運動を行った地。

  彼は当時宗主国のイギリスの服を着るのをやめ、自分の服をインドの綿で糸車を使って手作りした。在来の繊維工業を潰され、イギリスの繊維工業の従属的な立場になったインドで、独自の繊維生産や精神を復興させる運動の中心地。インドの国旗の糸車はガンジーのこの運動によるもので、実際にガンジーが暮らした質素な家に展示されていました。

  今では地産地消が盛んにいわれているけど、地域の産業を守ることがどれだけ大事か今の日本人やグローバリズムに傾倒している人たちが絶対訪れて勉強するべき地です。

 

★ スイス マッターホルンとその周辺の山岳リゾート

  マッターホルンがきれい。なのは当然ですが、巨大山岳リゾートとしての文化的価値があると思うのです。スイスは同様の世界遺産でユングフラウがあるわけですが、ツェルマットは国境に接し、国境をまたぐなかでの山一つ越えた文化的違いが極めて稀有と感じました。料理の味付けが違ったし、醸しだす雰囲気がスイスとイタリアは違ったんです。

 

★ 日本 岩手県 松川地熱発電所 日本初の地熱発電施設 近代産業遺産

   日本の地熱エネルギー活用の発祥地であり、巨大な冷却塔施設も現在では世界各地で失われ、創業時からの冷却塔が発電所の歴史も物語る。現在でも営業を続けながら、多くの施設が創業時から残る稀有な地熱発電所。

 

★ 日本 山形県 出羽三山の山岳信仰文化遺産

   山岳信仰の中心地の一つ。月山、湯殿山、羽黒山の山々で修行する山伏、国宝羽黒山五重塔なども有名だが麓の寺に安置される木喰即身仏に圧倒される。自然や人智を超えた驚異に信仰の強さで立ち向かおうとした昔の人々の思いの結晶として後世に伝えるべき遺産。

 

★ 日本 大阪府 大仙陵古墳 (仁徳天皇陵)

   周辺の古墳群と共になぜ世界遺産にならないのか不思議なくらい。一応検討はされているみたいだけど。世界遺産になってもならなくても絶対に後世に残すべき遺産。

 

△ 世界遺産も狙えたのに・・・

△ 日本 岩手県盛岡市 多様な橋と河川共存の歴史文化遺産。

   3本の河川が集まる盛岡市は、上の橋など古い橋から近代の様々な形状、設計の橋が立ち並ぶ稀有な景観が昭和50年代まであったが、現在はドブ板のような特徴の無い橋に取って代わられてしまった。盛岡城(不来方城)の河川に囲まれた城郭遺産も魅力的。盛岡城は復元するべき稀有な天守閣です。 

 

△ 北海道 函館市 函館山山麓の多国文化の歴史地区

  明治の開国以来、函館山の山麓には欧米各国領事館が置かれ、正教、カトリックなど多様な国の文化と日本の江戸末期からの文化、日本の近代化の中の文化的変遷が見られる建造物など極めて狭い地域に密集して見られる地域。和洋折衷の民家なども見られるが・・・。長崎や横浜との違いは、とにかく狭い地域に寺、神社、カトリック教会、正教会、各国領事館、公会堂と旧南部屋敷(箱舘)の石垣、和風商家、和洋折衷の民家、昭和初期のデパート、銀行など建造物が密集混在していたこと。

  中華会館が閉館したり、マンションが建ったり、昭和初期の建物が老朽化したり、今手を打たなきゃ価値はどんどん下がる遺産。もう無理ですね。

 

△日本 岩手県 南部曲り屋

  これも、機能する集落としては失われてしまったので、残念ながら世界遺産を狙うことはできません。岩手県全域に曲り屋形式は見られたのですが、最近は観光施設以外では見る機会も減りました。残っていても茅葺ではなくてトタン張りで馬はいなくなっているとところがほとんどです。残っていたら白川郷と並び称されていたでしょう。

 

△日本 岩手県 釜石橋上市場

  失われた近代遺産の一つ。

  法や規制が地域の特色ある文化、なにより生活様式を破壊し地域経済を疲弊させる一方で、近年の大型店舗になすすべも無く、商店街に無駄に補助金を注ぎ込み続けるなかでの悲劇的遺産の消失。

 

△北海道 明治から昭和初期の開拓遺産

  日本が世界に通用する近代国家に変化していく過程の輝きと影が、開拓の土木建築という形で残っている北海道は世界に通用する遺産として価値があると考えてますが、残ってはいるけど、ただの観光地でただの観光資源でしかないことを考えると、先人達の苦労はなんだったのか?と少し暗い気持ちになります。

  稚内の北港防波堤などは極めて価値の高い遺産。

  稚内はこの遺産がきちんと活かされるような港湾振興を考えるべきだし、道内の全ての開拓時代の遺産同士の繋がりを意識した活用がされればもの凄い産業振興になるのだろうけど・・・。

 

まだまだいろいろあるけど、とりあえずです。

自然遺産の世界遺産登録はあんまり好きではないので、書きませんでした。

東北地方の縄文遺跡も素晴しい遺産ではありますが、たぶん、今発見されている遺跡より類稀なものが地中に埋まっているはずなので、これも今登録を目指すべきではないだろうなと思います。  

世界遺産 Ⅱ

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ちなみに僕が行った世界遺産の感想。

星の数は全く個人的な評価です。 

★★★オーストラリア ブルーマウンテン

  ユーカリの油分が揮発し大気が全体に青み掛かって見えることからブルーマウンテンと呼ばれているらしい。初めての海外旅行で、初めて大陸の雄大な景色を見たのがここだったので、とても感動したのを覚えています。ふつうの観光ツアーで行ったので感動した面白かったという以外に具体的な感想はないのだけど・・・。

 

★オーストラリア シドニーオペラハウス

  最近世界遺産になったらしい。行った当時は世界遺産ではなかったし朝早く空港について休む暇なく連れて行かれたところなのですが・・・。

  確かに美しい建物だけど、美的なことだけで世界遺産になるのかなー?

 

★★★★★インド タージマハル

  建物の外観が素晴しいのはTVで見るとおりで普通ですが、内外の大理石の壁面に無数に施されている宝石や輝石の象嵌がとにかく素晴しい。周辺の工房で大理石細工や象嵌を見学したけど、大勢の職人が作り上げたのだと思うと、インドの手仕事の素晴しさを再認識させられました。インドの手工芸の集大成的な意味でも価値のある建造物。

 

★★★★★インド ファテープル・シークリー

  タージマハルの次に訪れた世界遺産で、赤い砂岩を削って作った建造物群に圧倒されます。

  全体の大きさもすごいですが、なにより赤い砂岩を薄く加工し、細かなレリーフを作っていること。その細工の細かさにビックリです。

  遺跡は丘の上ですが、麓にはいまでもこの赤い砂岩を建材として加工している村があり、子供からお年寄りまで石材業に従事しています。ちなみに、ズルをして型を作りモルタル製のレリーフに赤い塗料を塗っているところも見ました。

   

★★★★★ペルー マチュピチュ

  これほどTVの通りな風景は初めて。TV以上でもTV以下でもない。まったくその通りの風景。それはTVでも十分その神秘と古代インカのロマンが伝わるから、現地を見ても同じように感じるからだと思う。(途中の電車でさんざんマチュピチュのPRビデオを見せられたせいかも?)

  でも、TV通りとはいっても、その風景の中に自分もいると思うと、もの凄い感動に襲われます。

 

★★★★★ペルー クスコ

  ここはよかった。まずインカの石組みの素晴しさは以前からTVで知っていたけど、その現物に触れてみて大きさや正確さを実感しました。とにかく鉄器がないのに不思議です。世界中でこれほど人々に見つめられる石組みは、こことエルサレムの嘆きの壁だけじゃないかな?

 

★★★ペルー リマ歴史地区

  滞在時間が短かったことと、体調が悪かったのでちゃんと見れなかったけど、古い石造りの大きな建造物に細かな細工の施された真っ黒な木製のバルコン(バルコニー)が印象的でした。

 

★★チリ バルパライソ

  港町で急な坂の多い街。古い家がひしめき合って、急な小さなケーブルカーが崖下と上とを行交っている。面白い街だけど世界遺産だとは思って見てませんでした。

 

★★★★中国 万里の長城

  一度は見て損は無い。一般観光客向けは明代の長城だが、見ごたえは十分。

  中国の人民の力を思い知らされる建造物。観光客の多さが逆に「これだけ人がいたら出来るだろうなー」と納得してしまう。

 

★★★★★中国 故宮(紫禁城)

 とにかく広い。その建造物の広さ大きさもすごいが、建造物の細部や宝物の細工が素晴しい。歴代皇帝が全国から優れた工芸品作らせ集めたことを考えると、中国の伝統工芸の素晴しさを実感できる。逆にこういった上流階級の優れた工芸品のコピー商品がたぶん昔から作られていただろうと思うと偽物文化も伝統化してるのかな?と思ってしまう。

 

★★★★★姫路城

 僕が行った世界遺産では最上級の世界遺産。個人的に城郭が好きだったこともあるが、国内外でこれだけ壮麗な高層木造建築はないでしょう。天守の質実剛健な構造がわかりやすく、すばらしい。

 国内の城郭では随一。ちなみに個人的ランキングでいうと当然1位は姫路城、2位は松本城、3位は熊本城。

 国内の世界遺産では文句なし、世界的に見ても当然の世界遺産です。

 

★白神山地

 たしかに自然は豊かだけど・・・・。

 世界遺産になる前に何度か行ってるけど、素晴しいことはわかるけど・・・

 世界遺産になってからただの観光地、しかも規制があったり妙に開発と保護のアンバランスばかり目に付く気がする。

 

★★★★白川郷・五箇山

 たしかに合掌造りはすごい。

 ただ、ここを世界遺産として考えるなら、国内各地の特徴的な村落がどれだけ消滅してしまったのかを思い知らされます。岩手も曲り屋が村落集落としてちゃんと機能しながら残っていたなら?福島や山形、津軽の村落も残っていたなら、白川郷も世界遺産になることはなかったと思う。

 残すべき文化が僅かそこにしか残存することができなくて世界遺産になったというなら、逆説的にそれしか残せなかったということだから日本の恥ずべきことなのでは思うのです。

 

★★★★法隆寺

  写真で見ると、派手さはないし、華美な装飾もないし、一見すると地味な普通の寺にも思えてしまうけど、仏教が伝来して直後の現存する最古級の寺の様式であることを考えると、普段見慣れている寺の祖ともいうべき建造物。だから驚きとかの感情が湧かないのだと思う。実物は観光客が多くても建物の落ち着いた佇まいが心を静めてくれるような感じがします。世界遺産として当然の建造物。

 

★★★★★奈良

  東大寺含めて全般に当然の世界遺産。言うこと無し!!

  私は日本の文化を紹介するなら京都より奈良を勧めます。

 

★★★京都

  世界遺産に指定されてい個々の寺社は素晴しい。世界遺産に限定していうと文句なしだけど、逆に寺を一歩出て町に出てしまうとそのギャップにものすごく辟易してしまう。

 

★★★★★原爆ドーム

  負の世界遺産だけど、絶対見るべきもの。これも世界に類を見ない当然の世界遺産。

 

★★★厳島神社

  海上の建造物も面白いけど、宮島そのものが楽しめます。

  日本人独特の観光スタイルの寺社仏閣詣プラス観光とお土産を楽しめる地。

   ある意味で江戸時代からのこのような観光スタイルも文化的遺産だと思う。

 

★★★★★首里城 玉陵(たまうどぅん)

  中国文化と日本文化が混然となったようなとても興味深い遺産。

   世界遺産としては当然クラス。

 

★★★★日光東照宮

  徳川家康を祭る壮麗な社殿。建物至る所に様々な動植物の彫り物があり、しかもそれぞれに意味があるという。これは見ていて飽きない。

  世界的に見ても、一つ一つの装飾が意味を持って、しかもそれが多様である建造物は他に無いのではないでしょうか?

 

★★知床

  確かに素晴しい。けどそれは国内に限ったことで、世界的に見て本当に他に類を見ないのか疑問。個人的には北方四島の国後、択捉、さらにそこから続く千島列島のほうが知床以上の稀有な自然が残されている可能性が強いし、類似点も多いのでは?と思う。

 

全く個人的な感想評価なので人によっては、全然違う感想を持っているということもあると思います。

ただ、その人によって受け止め方の違う、世界中の様々な遺産を「世界遺産」という一括りで考えてしまってよいのか疑問です。世界遺産であれば人類共通の遺産として残していくのは当然ですが、これからの人類の歴史で新しく後世に残そうと作られるものや、どこにでもある(あった)けど、失われつつある、野や荒地、河原、民家、人とと自然や様々な境界線上でマッタリとユッタリとあったものがどんどん失われていることも目を向けなければ成りません。

そう考えると、シドニーのオペラハウスの評価は高くても良かったかもしれないけど・・・。

でも、本当にそれが残す価値があるかどうかは、シドニーの人たちの文化の中で活き続けることができるかどうかで決まるのですから、まだ新しいうちに世界遺産になるのも考え物?

白神山地と知床が僕の評価では低かったのは、白神や知床だけが別格に扱われることの是非、そして、自然保護と人間生活の境界が法や規制、施政によって線引きされることの危険性を疑問視してのことも理由の一つです。

いずれにしても、世界遺産に限らず、多くの自然と人の営みが看板や法や規制に縛られず自然と続くことが一番大事と思うこの頃です。

世界遺産 Ⅰ

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ローカルネタですが平泉の世界遺産登録が延期勧告となりました。

地元なので今後奮起してもらう意味で厳しくいいますが、やはりという思いが強いです。

正直、金色堂のある中尊寺一本で世界遺産登録を目指したほうがよかったと思う。

それでも、ギリギリ。

今回の申請では浄土思想とか骨寺村荘園遺跡とか無理があります。

あまり詰め込みすぎで中身が薄く感じられてしまった感があります。浄土思想まで持ち出したうえに範囲が広すぎるのがまずかったと思う。

個々の魅力はあるのですが、まるでお子様ランチのように色々あるけど重厚さに欠けるメニューといっていいでしょう。

世界遺産を見ると近代建築とかで一軒屋が世界遺産になっているようなところも多々あったり、産業遺産でも電波塔1本でも登録になっているところもあります。関連産業だからといって、周辺の鉄鋼所とか鉱山とかまで範囲を広げたらたぶん登録は難しかったと思う。

 

範囲を広げるとか、いろいろ詰め込むというのは一見魅力あるように感じますが、実はそのためにどこにでもある内容に平板化する可能性を持っているのです。

今の合併自治体がそうです。全国どこへ行っても同じです。同じように総合運動場や体育館、バイパスがあって、温泉があって、産直があって、工業団地があって、住宅地があって、観光産業があって、リゾート施設があって・・・。全国全ての自治体が同じです。違いなど見えてきません。

骨寺村荘園が自治体としても単独であったなら、骨寺村だけでも世界遺産登録は可能かもしれません。中世の貴族所領の時代から耕作地も村落自治も保存されている世界的に稀有な例といえるかもしれませんが、村落として自治運営が確立していない現状(自治会があっても正式の自治体ではない以上自治意識があるとはいえない)ではただ耕作地の近代化が遅れた中山間地の村落としか映らないでしょう。

繋がりを重視するあまり、個々の世界的価値をアピールできなかったのが最大の問題で、合併市町村や県など大きな組織がスクラムを組んだことが逆効果だったのではと思うのです。

もし、今回世界遺産登録を目指している平泉の個々の遺産が異なる自治体に散在していたなら、それぞれ自分たちの持っている世界的価値を露骨なほどにアピールするのだろし、そのことが中世村落の自治意識や奥州の中央を意識しつつも独自性の強い文化が今もあるのだなぁと人々を納得させることができるのだと思う。

なんで急に世界遺産の話題を出したかというと・・・。

 

岩手には、日本にはもっと世界遺産に相応しいものがあるのです。

それは

 【 松川地熱発電所 】

我が国最初の地熱をエネルギーに営業発電を開始し、世界でも4番目に古い地熱発電所。

しかも、施設が建設当初からほとんど変わっていない。他国の施設はほとんどが新しくなっているし、坑井も寿命が短いところがほとんど。

世界遺産登録は冷却塔とタービン建屋だけでも十分狙えます。

といっても県レベルで動いちゃうと、周辺の地熱地帯の発電所群や地熱利用と自然遺産とも入れてしまおうとして、結局魅力が薄れて登録延期ー!!とかなりそう。一見広範囲に広げるのは魅力だけど、広く色々テンコ盛りにすると逆にアメリカのカイザー、アイスランドの地熱地帯、イタリアのラルデレロとの違いを出せなくなってきます。

いま国内の発電所の円筒型冷却施設でこれだけ巨大なのってあるのかなー?

なければとりあえず重要文化財に指定してもらいたいものです。

 

最近はあまりに

『 五指之更弾、不若捲手之一挃、万人之更進、不如百人之倶至也。 』

五指のこもごも打つは捲手の一突きに及ばず、万人が交互に突進することは、百人が共に進むことに及ばない。

これを意識するあまり、五指の功、万人のそれぞれの奏でる美しい独自性が失われてしまいました。

世界遺産とはそういった個々の脆く失われそうな世界的価値ある文化や自然が相応しく、何かの試験や競技に勝ち抜くように一捲を振りかざしテンコ盛りにして目指すようなものではないと思うのです。まぁそれでも登録になればいいのですが・・・世界遺産という看板が増えるだけ。

入其国者、従其俗

 【 淮南子 】 斉俗訓

他国に入るなら、其の国の習俗に従う。

「郷に入らば、郷に従え」が有名ですが、この続きがよいのです。 

是故入其国者从其俗,入其家者避其讳,不犯禁而入,不忤逆而进,虽之夷
狄徒倮之国,结轨乎远方之外,而无所困矣。

「他国に入ったなら其の国の習俗に従い、

其の家に入っては諱を避け、禁を犯さず入り、逆らわないで進めば、

異民族の国へ行って、遠方と輸送路を結んでも、困るようなことはない。」

大体こんな感じの訳でしょうか。

 

チベットに於いても、昔から多くの民族が往来していました。

青海省には有名なシルクロードも通っています。

シルクロードといえばNHKの番組で、青海より北の河西回廊の敦煌を通るルートが有名ですが、同じかそれ以上に青海省を通過するルートも重要だったのです。

有名な文成公主もここを通り、青海湖からチベット高原へ入り吐蕃王国へ嫁ぎました。

文成公主は唐の太宗の時代、皇帝の娘ですが、シルク(蚕)を国外へ持ち出したことで有名です。

唐の皇帝の娘ですが、チベットでは観音菩薩の化身として崇められています。

昔からチベットは重要な交易路が幾つも縦横に走っていました。

最近、話題の茶馬古道もそうです。

大昔から、反発や騒乱、戦争は幾度もあったのでしょうが、それでも、商人や隊商、玄奘三蔵のような僧侶や旅人達は、通過するそれぞれの国や民族の異なる習俗や誇りを大切に、且つ、それも旅の楽しみや勉学の一つとして、少しずつ信頼を得て、道を切り開いていったのです。

 

いま、僅か数年で青海チベット鉄道が開通しました。

多くの人々がチベットの文化や自然に魅せられて、訪れる機会がせっかく得られたのに、チベット人の誇りや文化を虐げるような、中央の資本が一斉に入り込んでしまいました。

それまでの漢民族や清真の商売人たちが長い時間をかけて築いてきたチベット人との信頼や文化の交流も無にしてしまうような、勢いで開発されて定住化や農場化を押し進めています。

 

近代化の名の下に、郷の人々を抜きに開発を押し進める手法は、観光産業のうえからもマイナスでしかありません。

日本も含めて先進国の多くが、観光資源となりえる多くの地域文化を失いました。

せっかく、チベットの自然の中で暮らす人々の文化や習俗に触れることを楽しみにしているのに、大きなホテルやロープーウェイなどまるでテーマパークのような観光施設を作ろうとしています。

旅の楽しみは、リアルにそこで暮らしている人々と触れ合える、そのときに、現地の人が自分たちの暮らしを誇りをもって、旅人を心から歓迎してくれるような、政治、経済環境が整えることが体制に求められることなのです。

しかし、グローバリズムによってその地域や地方の文化、経済は大きな打撃を喰らっています。

そして、その反動でグローバリズム反対、過激な地域主義、民族主義的思想も台頭してきました。

世界中で民族紛争が激化していますが、大半が経済格差(とくに資本力の差)から発生しています。

民族や宗教の違いは、精神的拠り所としての旗印的なものとして使われているにすぎないのです。

グローバル化社会でも、少しでも地域や地方で活動する場合「郷に入っては、郷に従う」姿勢があったなら、その反動も和らげることができるのに・・・。

結局、グローバル企業や中央行政府がその地域ごと民族ごとに、製品や商展開、施政を変えていては無駄が多く、グローバル化とはいえないからなのでしょう。

そう考えると、グローバル化と地域の文化と経済の存続は相容れないものなのでしょう。

だからといって、過激な民族主義や宗教に名を借りた暴力を肯定する気持ちはありません。

世界の政治と経済が権力や資本力ではなく、シルクロードの時代のようにそれぞれの国が地域の社稷を守り、人と人同士の努力と信頼の交易が大によるところになれば良いのにと思うのですが・・・。

 

中国だけでなく、日本も、世界中の政府とグローバル企業には地方に対しては 『 入其国者、従其俗 ・・・ 』の通りの政策を期待したいものです。

文化の優劣

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習慣や風俗は常に大国や経済力のある地域の影響を受けますが、だからといって大国の、経済力のある地域の風習が優っていて、小国や地方の習俗が劣っているということではありません。

習慣、風俗、習俗、風習びみょうに言葉の意味が違いますが、面倒なのでひっくるめて文化とします。

 

2000年ほど前の中国の漢帝の一宦官の中行説が匈奴へ帰順しました。

当時漢帝国は北方の騎馬民族である匈奴へ皇帝の娘などを嫁に出す『降嫁』やたくさんの贈り物をして和親を保つ政策でした。

匈奴へ帰順したのは、その『降嫁』で公女(皇帝の娘)の身の回りの世話をさせるための宦官の中行説というひとでした。

 

中行説は不純な動機でしたが、匈奴の文化を守ることを匈奴の王である単于に説き、信任を得て仕えました。

彼の不純な動機というのは、自分を戻ることのできない辺境の匈奴の地へ追いやった漢の朝廷に対する恨みでしたが、普通の策士なら、漢帝国の制度や仕組みを使って匈奴を強国へしようとするのが普通。彼の功績は、匈奴の地域に根ざした伝統的文化こそが、強さの秘訣であり、守るべきものだと説き、漢帝国の産物に溺れはじめた匈奴の生活文化を強く諌めました。

衣食住も基本的に匈奴のものがもっともこの地に於いて優れているとして、絹織物と以前の毛皮の民族衣裳とで茨の路を行かせ、毛皮がいかに優れているかを説き、漢の食物より匈奴の乳製品のほうが力もでるし、美味いということを単于自ら示すことを諭しました。

移動式の住居も極めて匈奴の強さに必要不可欠なものであるとし、それまで、獣を喰らい、定住しない蛮族とされた匈奴の文化を強く誇りを持って弁護しました。

彼は獣を喰らい定住しない蛮族へ追いやった朝廷への恨みで、漢の災いとなることを目指し、匈奴に帰順していたのですが、彼がこういった匈奴の文化を強く弁護したことからも、おそらく、実際に匈奴の文化に触れて、けっして蛮族ではなく優れた文化を持った民族だという事がわかったのではないでしょうか。

彼は、漢の使者が批判した、匈奴の風習である、兄弟が一人の妻を娶ったり、父子兄弟が死ぬと残ったものが未亡人を妻にすることなども弁護しました。

家系の断絶を防ぐだけでなく、厳しい自然環境の中で未亡人も含めて、一族が結束して生活するための当然の風習なのです。もし、未亡人を家から放り出したらどうなるでしょう?残された子供達は?新しい、妻を娶って生まれた子供達と増えた家族を養うだけの遊牧地は?家系種族の断絶を防ぐだけでなく、過剰な一族の増加を防ぎ、生活の糧である遊牧を確実に次代へ残すためのものです。

 

しかし、今では兄弟で一人の妻を娶ったり、未亡人を兄弟や子が引き続き娶ることは、恥ずかしい風習と思っている人々もかなり多くなったようです。

チベットへ行ったときに昔はと前置きされながら、こういった因習は恥ずかしいことのように語っていた人がいたのですが、中国の中央政府の教育のせいなのかと残念に思いました。でも、他民族である僕が、中行説のように、チベット族に帰順するわけでもないのに「それは違います」と言うのもおかしいと思い何も言わなかったのですが・・・。

 

教育や衣食住の基本的な文化は、チベットだけでないのですが、世界各地の地方に於いて、日本も例外ではなく、その地域の固有のものが次々失われていってます。

 

中行説

 動機が不純で事あるごとに漢帝国への抵抗を訴えただけに、評価の分かれる人ですが、僕は今の地方の人々が見習うべき人物の一人と思うのです。

 

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