世界遺産 Ⅰ

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ローカルネタですが平泉の世界遺産登録が延期勧告となりました。

地元なので今後奮起してもらう意味で厳しくいいますが、やはりという思いが強いです。

正直、金色堂のある中尊寺一本で世界遺産登録を目指したほうがよかったと思う。

それでも、ギリギリ。

今回の申請では浄土思想とか骨寺村荘園遺跡とか無理があります。

あまり詰め込みすぎで中身が薄く感じられてしまった感があります。浄土思想まで持ち出したうえに範囲が広すぎるのがまずかったと思う。

個々の魅力はあるのですが、まるでお子様ランチのように色々あるけど重厚さに欠けるメニューといっていいでしょう。

世界遺産を見ると近代建築とかで一軒屋が世界遺産になっているようなところも多々あったり、産業遺産でも電波塔1本でも登録になっているところもあります。関連産業だからといって、周辺の鉄鋼所とか鉱山とかまで範囲を広げたらたぶん登録は難しかったと思う。

 

範囲を広げるとか、いろいろ詰め込むというのは一見魅力あるように感じますが、実はそのためにどこにでもある内容に平板化する可能性を持っているのです。

今の合併自治体がそうです。全国どこへ行っても同じです。同じように総合運動場や体育館、バイパスがあって、温泉があって、産直があって、工業団地があって、住宅地があって、観光産業があって、リゾート施設があって・・・。全国全ての自治体が同じです。違いなど見えてきません。

骨寺村荘園が自治体としても単独であったなら、骨寺村だけでも世界遺産登録は可能かもしれません。中世の貴族所領の時代から耕作地も村落自治も保存されている世界的に稀有な例といえるかもしれませんが、村落として自治運営が確立していない現状(自治会があっても正式の自治体ではない以上自治意識があるとはいえない)ではただ耕作地の近代化が遅れた中山間地の村落としか映らないでしょう。

繋がりを重視するあまり、個々の世界的価値をアピールできなかったのが最大の問題で、合併市町村や県など大きな組織がスクラムを組んだことが逆効果だったのではと思うのです。

もし、今回世界遺産登録を目指している平泉の個々の遺産が異なる自治体に散在していたなら、それぞれ自分たちの持っている世界的価値を露骨なほどにアピールするのだろし、そのことが中世村落の自治意識や奥州の中央を意識しつつも独自性の強い文化が今もあるのだなぁと人々を納得させることができるのだと思う。

なんで急に世界遺産の話題を出したかというと・・・。

 

岩手には、日本にはもっと世界遺産に相応しいものがあるのです。

それは

 【 松川地熱発電所 】

我が国最初の地熱をエネルギーに営業発電を開始し、世界でも4番目に古い地熱発電所。

しかも、施設が建設当初からほとんど変わっていない。他国の施設はほとんどが新しくなっているし、坑井も寿命が短いところがほとんど。

世界遺産登録は冷却塔とタービン建屋だけでも十分狙えます。

といっても県レベルで動いちゃうと、周辺の地熱地帯の発電所群や地熱利用と自然遺産とも入れてしまおうとして、結局魅力が薄れて登録延期ー!!とかなりそう。一見広範囲に広げるのは魅力だけど、広く色々テンコ盛りにすると逆にアメリカのカイザー、アイスランドの地熱地帯、イタリアのラルデレロとの違いを出せなくなってきます。

いま国内の発電所の円筒型冷却施設でこれだけ巨大なのってあるのかなー?

なければとりあえず重要文化財に指定してもらいたいものです。

 

最近はあまりに

『 五指之更弾、不若捲手之一挃、万人之更進、不如百人之倶至也。 』

五指のこもごも打つは捲手の一突きに及ばず、万人が交互に突進することは、百人が共に進むことに及ばない。

これを意識するあまり、五指の功、万人のそれぞれの奏でる美しい独自性が失われてしまいました。

世界遺産とはそういった個々の脆く失われそうな世界的価値ある文化や自然が相応しく、何かの試験や競技に勝ち抜くように一捲を振りかざしテンコ盛りにして目指すようなものではないと思うのです。まぁそれでも登録になればいいのですが・・・世界遺産という看板が増えるだけ。

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このページは、malmaが2008年10月10日 21:31に書いたブログ記事です。

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