2008年3月アーカイブ

文化の優劣

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習慣や風俗は常に大国や経済力のある地域の影響を受けますが、だからといって大国の、経済力のある地域の風習が優っていて、小国や地方の習俗が劣っているということではありません。

習慣、風俗、習俗、風習びみょうに言葉の意味が違いますが、面倒なのでひっくるめて文化とします。

 

2000年ほど前の中国の漢帝の一宦官の中行説が匈奴へ帰順しました。

当時漢帝国は北方の騎馬民族である匈奴へ皇帝の娘などを嫁に出す『降嫁』やたくさんの贈り物をして和親を保つ政策でした。

匈奴へ帰順したのは、その『降嫁』で公女(皇帝の娘)の身の回りの世話をさせるための宦官の中行説というひとでした。

 

中行説は不純な動機でしたが、匈奴の文化を守ることを匈奴の王である単于に説き、信任を得て仕えました。

彼の不純な動機というのは、自分を戻ることのできない辺境の匈奴の地へ追いやった漢の朝廷に対する恨みでしたが、普通の策士なら、漢帝国の制度や仕組みを使って匈奴を強国へしようとするのが普通。彼の功績は、匈奴の地域に根ざした伝統的文化こそが、強さの秘訣であり、守るべきものだと説き、漢帝国の産物に溺れはじめた匈奴の生活文化を強く諌めました。

衣食住も基本的に匈奴のものがもっともこの地に於いて優れているとして、絹織物と以前の毛皮の民族衣裳とで茨の路を行かせ、毛皮がいかに優れているかを説き、漢の食物より匈奴の乳製品のほうが力もでるし、美味いということを単于自ら示すことを諭しました。

移動式の住居も極めて匈奴の強さに必要不可欠なものであるとし、それまで、獣を喰らい、定住しない蛮族とされた匈奴の文化を強く誇りを持って弁護しました。

彼は獣を喰らい定住しない蛮族へ追いやった朝廷への恨みで、漢の災いとなることを目指し、匈奴に帰順していたのですが、彼がこういった匈奴の文化を強く弁護したことからも、おそらく、実際に匈奴の文化に触れて、けっして蛮族ではなく優れた文化を持った民族だという事がわかったのではないでしょうか。

彼は、漢の使者が批判した、匈奴の風習である、兄弟が一人の妻を娶ったり、父子兄弟が死ぬと残ったものが未亡人を妻にすることなども弁護しました。

家系の断絶を防ぐだけでなく、厳しい自然環境の中で未亡人も含めて、一族が結束して生活するための当然の風習なのです。もし、未亡人を家から放り出したらどうなるでしょう?残された子供達は?新しい、妻を娶って生まれた子供達と増えた家族を養うだけの遊牧地は?家系種族の断絶を防ぐだけでなく、過剰な一族の増加を防ぎ、生活の糧である遊牧を確実に次代へ残すためのものです。

 

しかし、今では兄弟で一人の妻を娶ったり、未亡人を兄弟や子が引き続き娶ることは、恥ずかしい風習と思っている人々もかなり多くなったようです。

チベットへ行ったときに昔はと前置きされながら、こういった因習は恥ずかしいことのように語っていた人がいたのですが、中国の中央政府の教育のせいなのかと残念に思いました。でも、他民族である僕が、中行説のように、チベット族に帰順するわけでもないのに「それは違います」と言うのもおかしいと思い何も言わなかったのですが・・・。

 

教育や衣食住の基本的な文化は、チベットだけでないのですが、世界各地の地方に於いて、日本も例外ではなく、その地域の固有のものが次々失われていってます。

 

中行説

 動機が不純で事あるごとに漢帝国への抵抗を訴えただけに、評価の分かれる人ですが、僕は今の地方の人々が見習うべき人物の一人と思うのです。

 

愚人千慮

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智者千慮必有一失、愚者千慮必有一得

【 史記 淮陰候列伝 】

歴史上の人物でもっとも尊敬しているのが中国の歴史書『 史記 』を書いた司馬遷。

その『 史記 』中で劉邦に新任され大将軍となった韓信が燕・斉を攻略するにために、捕虜にした趙の李左車という人物に教えを請い、その際に李左車が策を述べる前置きに述べた言葉とされています。

知恵者であっても、千に一つは失策があり、愚者であっても千に一つくらいはよい考えがあるかもしれませんという意味で、ここから李左車が献策し韓信は燕・斉の攻略を成功させたのです。

 

当ブログ【 愚人千慮 】ではそんな李左車のような"一得"になるようなものはありません。

単なる、管理人の愚痴です。

日頃、思っている「ちょっとおかしいぞ?」とか「なんでみんな気が付かないの?」とか「どうしてそうなの?」とかを、故事成語を使ったりカッコつけながら、ただただ長文で書き綴っていきます。でも、愚痴のような千慮の文から一得が得られないとは断言できません。

 

かなりお暇な時にでも、お読み下さい。

 

ちなみに。【 史記 】では『智者・愚者』となっていますが、【 晏氏春秋 】では『聖人・愚人』で同じ意味の言葉があります。

愚者はグッシャっと潰れそうなので『愚人』にしました。

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