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イトウ絶滅!?

6日のネットのニュースや新聞などでイトウについての記事が載りました。
記事の内容は【幻の魚イトウ、絶滅寸前 専門家グループが調査
】共同通信をご覧下さい。
この中で、若干気になる点がありました。
それは、個体数の算定方法など、文章中にはいくつも???があるように感じられます。

一番は「サハリン2」!!なんとなく国際政治の駆け引きの臭いがプンプンしますね。
今年の釣行先の候補地のサハリンなので、【 グーグルアース 】で衛星画像をチェックしてますが、明らかに「サハリン2」のガスパイプラインで伐採している部分より、それ以外の伐採地域のほうが圧倒的に広いことがわかります。
総面積では確かにパイプライン敷設の伐採面積が上回るかもしれませんが、パイプラインはほぼ直線なので、河川に与える影響は限定的なはず。それよりも、通常の木材伐採地域での土砂崩れなどが目立っています。一部では禿山になってる場所も。それと、古い油田の存在も気になります。

次に個体数の算定方法とそれから導き出される絶滅の危機!!という部分の疑問。
これは、サケ漁に混獲されるイトウの数から予想しているわけですが、その基準となった混獲数が問題です。30-40年前は海洋へ降海しているイトウを混獲している数が多かったというわけでしょうが、その時点で親魚となるイトウを混獲で乱獲していた可能性もあって、その混獲自体が個体数激減の理由になった可能性もあるということ。しかも、海洋での混獲で降海型の特性をもつ系統群が減って、河川の陸封型がその分存続している可能性もあります。たとえば、サツキマスが激減したからといって、アマゴが絶滅するとは安易に結論付けられないわけです。もちろん、降海型に依存しているサクラマスとヤマメのような関係では降海型の減少は致命的なのですが・・・。いずれにしても、イトウの生態自体が完全に解明されているわけではないので、安易に種としての絶滅を口にするのはどうかと思うわけです。

で!!。今回の記事の中のイトウとは『hucho peryyi』のことで、その他のイトウについてはどうかというと。。。
イトウの生息範囲はサケ科魚類の中でも広大なほうで、とくにシベリア一帯に生息してる「taimen」は一番の生息範囲をもっています。今回の『hucho peryyi』は北海道に生息していることでも御馴染みの種類ですが、実は、『taimen』との正確な分布境界線ってわかっていないんです。
さらに、taimen自体の定義がどうもあやふや。
このシベリアに生息する「taimen」に絶滅の危機が訪れるとしたら人類の危機です。
それは、シベリアのイトウを育む森に異変が起きない限り「taimen」の絶滅はありませんし、シベリアの森が失われれば凍土が融けてメタンガスが放出されて、温室効果ガスが一気に増えるからです。

こんなことを書くと、じゃぁイトウはまだまだ大丈夫だと思われるかもしれませんが、種としての絶滅はなくても、貴重な地域系統群が生息する場所が危機的状況なのです。
かつては、岩手の北上川や青森にも生息していたとされます。もしかしたら、北海道のイトウの亜種かもしれなかったし、もっと貴重な種だったかもしれません。
現在、北海道尻別川のイトウも極めて貴重なイトウの地域系統群ですが、これは絶滅の危機といっても過言ではないと思います。道東には道東の、道北には道北のイトウがいるわけです。ですから、1箇所がいなくなっても大丈夫とはいえないのです。
世界的にも、中国の『長江イトウ』や『高麗イトウ』、ヨーロッパの『ドナウイトウ』。中国内モンゴルから西域に断片的に分布域を持つイトウの仲間達。これらは、絶滅寸前といっても言い過ぎではありません。

ちょっと長くなりましたが、掲示板のほうにも【北の釣り人The North Angler】のkazuさんより書込みがありましたし、それなりに注目のあった記事だったようなので書いてみました。